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第14回 株式会社円谷プロダクション

三世代マーケティングは、歴代
「ウルトラマン」の共演と、世代を超えて
共有したいメッセージが重要」

株式会社円谷プロダクション 代表取締役社長 大岡 新一 氏

ウルトラマンシリーズのテレビ放送開始から、来年で50周年を迎える円谷プロダクション。今回のインタビューでは、ウルトラマンが支持される理由、作品に込められているメッセージから、シニアの定義、そして三世代マーケティングに成功したキャラクターといわれる要因など、幅広くお話をお伺いしました。

2015年7月 取材

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「ウルトラマン」 Blu-ray BOX 好評発売中

 


Q.ウルトラマンは長年のヒットシリーズですが、ヒットの要因は何だと思われますか?

imageウルトラマンシリーズは1966年に『ウルトラマン』がテレビ初放映されてから、いよいよ来年の2016年には50周年、また『ウルトラマンティガ』が放映されてから20周年と、節目の年を迎えます。
これだけの長きにわたってウルトラマンシリーズを続けてこられたのは、やはり創業者の円谷英二をはじめとした制作スタッフの誰も見たことがない作品を作り上げようという情熱と、それを支持してくれたファンのおかげでしょうね。
多くの方に支持される作品というのは、計算だけでは絶対につくれないと思うんです。一番重要なのは情熱じゃないでしょうか。
円谷英二と一緒に仕事をして、会話したことのある人間は、円谷プロダクションの中でほぼ私だけだと思いますが、円谷英二は「映画ではなく、テレビで新しいことをやりたい」、「子供たちに喜んでもらえるものを作りたい」、「いいものを作りたい」という熱い想いを持つ、いわゆる“職人”でした。
その熱意で、30分のテレビ番組とはいえ、撮影中にピアノ線が少しでも映り込んだ時や、編集されたものが面白くなければ、すぐやり直しをするようにスタッフに命じていましたね。あまり大きな声では言えませんが、相当な赤字だったはずです。(苦笑)

imageまた、円谷英二だけではなく、シリーズ構成を担当した脚本家の金城哲夫や、ヒーローや怪獣のデザインを担当した成田亨をはじめとした他スタッフも同じ想いを持っていました。
作品にはクレジットが残りますし、人気を得たシリーズならば再放送という形で5~10年先でも見てもらえる可能性があります。そのため、スタッフもいい加減な作品にはできないので余計に力が入るという別の作用もあったのかもしれません。
今現在でも我々はその情熱を受け継いで作品をつくっていますが、限られた制作費の中で、知恵を出しながら、視聴者が期待に応える作品をつくらなければいけませんので、いい意味でプレッシャーを感じています。“ものづくり”は本当に苦しいですよ。
また、円谷英二だけではなく、シリーズ構成を担当した脚本家の金城哲夫や、ヒーローや怪獣のデザインを担当した成田亨をはじめとした他スタッフも同じ想いを持っていました。
作品にはクレジットが残りますし、人気を得たシリーズならば再放送という形で5~10年先でも見てもらえる可能性があります。そのため、スタッフもいい加減な作品にはできないので余計に力が入るという別の作用もあったのかもしれません。
今現在でも我々はその情熱を受け継いで作品をつくっていますが、限られた制作費の中で、知恵を出しながら、視聴者が期待に応える作品をつくらなければいけませんので、いい意味でプレッシャーを感じています。“ものづくり”は本当に苦しいですよ。
もう一つの要因を挙げるとしたら、メディアの変遷です。
1966年当時のカラーテレビの普及率は1~2%程度でしたので、当時の視聴者の多くは、モノクロで見ていたんです。ウルトラマン特有の赤と銀のカラーリングや、カラータイマーの点滅、隊員のたちの服装の色も、何色なのか分からない。
それが、カラーテレビが普及するようになると、モノクロの世界観とは全く違う作品に見えますので、更に深く記憶に残ったのかもしれません。
更に、当時は特撮作品がほとんどありませんでしたし、ヒーローものも今ほど多くありませんでした。そのため、怪獣ものなどの特撮作品はお金を払って映画館で見るしかなかったのですが、ウルトラマンはテレビで無料で見られるということもあり、一気に支持を得ました。当時の最高視聴率は42.8%。今振り返ってみても、すごい数字ですよね。「映画ではなく、テレビで新しいことをやりたい」というスタッフの情熱が視聴者にも伝わったのではないでしょうか。
もう一つの要因を挙げるとしたら、メディアの変遷です。
1966年当時のカラーテレビの普及率は1~2%程度でしたので、当時の視聴者の多くは、モノクロで見ていたんです。ウルトラマン特有の赤と銀のカラーリングや、カラータイマーの点滅、隊員のたちの服装の色も、何色なのか分からない。
それが、カラーテレビが普及するようになると、モノクロの世界観とは全く違う作品に見えますので、更に深く記憶に残ったのかもしれません。
更に、当時は特撮作品がほとんどありませんでしたし、ヒーローものも今ほど多くありませんでした。そのため、怪獣ものなどの特撮作品はお金を払って映画館で見るしかなかったのですが、ウルトラマンはテレビで無料で見られるということもあり、一気に支持を得ました。当時の最高視聴率は42.8%。今振り返ってみても、すごい数字ですよね。「映画ではなく、テレビで新しいことをやりたい」というスタッフの情熱が視聴者にも伝わったのではないでしょうか。

 

Q.ウルトラマンシリーズを通じた三世代マーケティングについてお聞かせください。
ウルトラマンダイナ-blu-ray-box-2015年9月25日発売

ウルトラマンダイナ-blu-ray-box-2015年9月25日発売

ウルトラマンシリーズの放送開始当時に子供だった世代は、現在55歳~65歳になります。放送開始から来年で50年になり、その間にシリーズを作り続けてきましたので、その子供も孫もウルトラマンシリーズを見ているんですね。
過去の作品を三世代で見るというのはなかなか難しいかもしれませんが、最新の作品の中で、ウルトラマンが戦ってピンチになると、歴代のウルトラマンが助けにくる設定にしています。つまり、今の子どもが見ている最新のウルトラマンシリーズの中で、親や祖父の世代に登場したウルトラマンが共演するということです。三世代で同じヒーローを共有できますので、「このウルトラマンは昔こうだったんだよ」、「この当時こんな怪獣と戦っていたんだよ」と世代間の会話が生まれます。世代が違っても、共通項の話題が持てる。これが我々の三世代マーケティングの特徴ですね。
1966年当時は放送時間帯も含めて、子供のためだけの作品ではなく、大人を含めたファミリー向けの内容でした。平成以降は玩具メーカーのバンダイさんと一緒につくってきた経緯もありますので、どうしても子供向けコンテンツとして思われがちです。しかし、我々は昔から変わらず、子供だけではなく大人に対しても大人だからこそ本質的に分かるメッセ―ジを込めて制作しています。
そのメッセージの根底にあるのは、「愛」、「正義」、「あきらめない気持ち」といった普遍的なものですが、各時代の背景や価値観を踏まえています。
どの作品でも、ヒーローであるウルトラマンが、地球の平和のため怪獣と戦う、というストーリーですが、登場する怪獣の特徴やバックグラウンドの設定で我々のメッセージを込めて表現することが多いですね。
怪獣あってのウルトラマンですし、数多くの怪獣がいることでファンに楽しみを与えていますので、一番のヒーローはウルトラマンですが、主役は怪獣といっても過言ではありません。

 

Q.込められたメッセージの具体例があれば教えてください。

2011年3月11日の東日本大震災が起きる前、新しい映画の脚本開発をしており、ほぼ方向性が決まったところでした。しかし、その後震災が起き、あれだけの甚大な被害がありましたので、怪獣がビルを次々に壊すというという描写を全て変更することにしました。そして完成させた作品が、2012年3月公開の「ウルトラマンサーガ」です。
今の世の中、どうしても目先のことばかりになってしまいがちですし、震災のことも時が経てば風化してしまいます。
しかし、あの時日本全国で共有した「復興」、「助け合おう」、「みんなでがんばろう」といったことは、これから先の世代とも共有していかなければなりませんよね。「ウルトラマンサーガ」にはそんなメッセージを込めました。
直接的なメッセージではないですが、震災を経験した世代が、将来の子供、孫と一緒に見てメッセージを共有できるよう、映画の最後にウルトラマンが宇宙に帰るシーンで、夜の暗い東北地方に明かりが少しずつ点いていく演出にしました。
我々としては、こういったメッセージを込めたウルトラマンシリーズが各世代間をつなげる、接着剤になってくれると信じています。

 

Q.「シニア」とはどう定義づけされていますか?
帰ってきたウルトラマン-blu-ray-box-2015年11月26日発売

帰ってきたウルトラマン-blu-ray-box-2015年11月26日発売

よく60歳以上、65歳以上をシニアとされることが多いようですが、60代後半でも現役の方もいらっしゃいますし、色んな立場の方がいらっしゃいますので、年齢で定義づけないほうがいいですね。
我々はコンテンツ軸で定義づけており、「ウルトラマン」放送開始当時の視聴率約40%を支えてきた世代の方を「シニア」としています。
また、ウルトラマンというヒーローの特性上、どうしても我々にとっての「シニア」=男性になってしまいます。ウルトラマンの認知度自体は90%以上ありますが、一般的に女性はヒーローに興味ないですよね(笑)。ウルトラマンという名前は知っているが詳しい内容までは分からないという女性がほとんどだと思います。 ただ、女性が安心してお子さんやお孫さんに見せることができるコンテンツ、キャラクターだと思いますので、女性の好感度も高いのではないでしょうか。
「シニア」世代は長年のファンですから大切にしていきたいですし、これから更に密なるコミュニケーションをとっていきたいと考えています。
ウルトラマンというキャラクターを通じて若い頃を思い出し、元気をもらうなどして活力にしていただきたいですね。それが今までウルトラマンを育ててくれたファンへの恩返しですし、社会の一員として我々がやらなければいけないことだと思っています。

 

Q.「シニア」とはどんな特徴を持っていると思われますか?

私も68歳のいわゆるシニア(認めたくはありませんが・・・)ですが、70年安保時代を経験した世代ですので、それぞれが異なる価値観・生きる指針を持っています。何か押し付けられると、“そうじゃない!おれたちはこういうやり方をしてきたんだ!”という、プライドのようなものですね。
そのため、「シニア」という大きい括りの中で、何か一方的に押し付けても、あまり響かないと思います。価値観が多種多様だからこそ、それぞれのバックグラウンドに応じたやり方が必要です。
しかし、唯一大きい括りの「シニア」の中で入り込めるキーワードがあるとすれば、それは「孫」です。
私自身も3人の孫がおりますが、孫には絶対嫌われたくないんですよ(苦笑)。ここだけの話、子供より可愛いです。親ではないので、教育についての責任もないですし、とにかく財布の紐が緩みます。同窓会での話題も、「病気」か「孫」の話がほとんどですし、皆「孫」の話になると顔つきが変わりますよ。

 

Q.ウルトラマンは三世代を共有できる数少ないキャラクターと思いますが、何かベンチマークされている企業やキャラクターはありますか?

他キャラクターや企業の展開を模倣するのではなく、円谷プロダクションならではの展開をしていきたいと思いますので、特にベンチマークしているところはありません。できれば、我々が「三世代マーケティング」におけるモデルケースになるように結果を残さなければいけませんし、それが責務だと考えています。
前例がないため、新しい取り組みとなると知恵を絞らなければいけませんね。
例えばですけど、日本国内だけでなく、ウルトラマンの認知度の高いアジアでの企画展開等、マーケットを広げていきたいと思っています。それには、さまざまな視点や戦略が必要ですし、海外の方と情報共有・交換することにより、我々の想像を超えた成果が生まれるかもしれませんね。

 

ウルトラマンx-毎週火曜日夕方6時より-テレビ東京系列-ウルトラマン列伝-内にて好評放送中 ©円谷プロ

ウルトラマンx-毎週火曜日夕方6時より-テレビ東京系列-ウルトラマン列伝-内にて好評放送中 ©円谷プロ

 

©円谷プロ

 

株式会社円谷プロダクション ホームページ
http://www.tsuburaya-prod.co.jp/

円谷ステーション – ウルトラマン、円谷プロ公式サイト
http://m-78.jp/

 


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