2019.6.5 老後資金2,000万必要  国民に「自助」求める金融庁

金融庁の金融審議会は2019年6月3日、長寿化による「人生100年時代」に備え、『高齢社会における資産形成・管理』報告書を発表しました。

この報告書によると、平均寿命の伸びを受け、老後の資金繰りが多くの人の課題になる中、現状では「公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」と明言し、国民に、「自助の充実」を呼びかけています。

 

e1bd60ee64c32418286886fb8f048a98_s

 

 

報告書 の内容とは?

「わが国に根付いてきた賃金制度として、退職給付制度がある。
かつては 退職金と年金給付の二つをベースに老後生活を営むことが一般的であったと考えられるが、公的年金とともに老後生活を支えてきた退職金給付額 は近年減少してきている。

 

平均退職給付額(全規模)の推移

出典: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より

出典: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より

 

(中略)

定年退職者の退職給付額を見ると、平均で 1,700 万円~2,000 万円程度となっており、ピーク時から約3~4割程度減少している。

今後見込まれる雇用の流動化の広がりを踏まえると、退職金制度の採用企業数や退職給付額の減少傾向が続く可能性がある。

退職金制度の有無、その給付金額は退職後の生活に大きな影響を及ぼしうるため、自身の退職金の見込みや動向については、早い段階からよく確認しておく必要がある。」

 

とあります。これまで、退職金と年金給付の2つをベースに老後生活を考えるのが一般的でしたが、そうもいかなくなると示唆しています。

更に…

 

「夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では 毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支 出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。

重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・ 分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状 況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理 をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要 性を認識することが重要である。」

 

とあります。不足分には老人ホームの入居費用や自宅のリフォーム費用などを含んでいないため、さらに資産が必要に場合もあるようです。

遂に少子高齢化で年金の給付額の維持が困難だと政府自ら認め、国民の自助努力を求める事となりました。

ネット上では批判の声が相次いでおり、政府が国民に「自助」を求めたことについて、「自助を求めるならもっと蓄えやすい状況にして」,「年金の支払いで貯蓄できないのに自助とは」…

などの不満も噴出しているようです…

 

 

<金融庁/金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書>https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

 

 

シニアマーケティングの豊富な実績事例から、トータルコーディネートさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください
マーケット最前線
データ集
メディア集
ビジネスマッチング
注目ビジネス
シニアマーケティングの考え方
連載コラム
編集室から
シニアライフ総研について
ニュース
お問い合わせ

Copyright©Roots of communication Co.,Ltd. All rights reserved.